「私は敏感肌だから、使えない化粧品が多い」
そう感じている人は、少なくないと思います。
でも実は、皮膚科学の分野では「敏感肌」という言葉に、明確な定義はありません。
敏感肌は、体質として固定されたものというより、
体調や季節、環境によって揺らぐ
“肌の状態”を表す言葉として使われていることがほとんどです。
今日は、敏感肌という言葉の曖昧さと、
それでも私たちが肌とどう向き合えばいいのかを、落ち着いた距離感で整理してみたいと思います。
「敏感肌」に医学的な定義はない
まず知っておきたいのは、
「敏感肌」は医学的な病名や診断名ではない、ということです。
皮膚科学の世界では、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎のように
明確な診断基準がある疾患とは区別されています。
一般に「敏感肌」と呼ばれている状態は、
・ピリピリする
・かゆみが出やすい
・赤みが出る
・化粧品がしみる
といった自覚症状の集合体。
つまり、
「生まれつきの体質」と決めつけるものではなく、
その時々の肌のコンディションを表す言葉なのです。
敏感肌用化粧品は誰がどう決めているのか
ドラッグストアや百貨店、雑誌などでよく見かける
「敏感肌用」という表示。
これも、国や医学会が定めた統一基準があるわけではありません。
多くの場合、
・メーカー独自の基準
・独自のパッチテスト
・特定条件下での刺激試験
こうした社内基準をもとに「敏感肌向け」と表記されています。
つまり、
A社で敏感肌用とされているものが、
B社でも同じ基準とは限らない。
比較対象が存在しない以上、
「敏感肌用=誰にでも安全」という
絶対的な意味は持たないのです。
「低刺激」「やさしい」といった言葉についても、
別の記事で少し掘り下げています。
▶無添加だからだから安心、とは限らない理由
なぜ私たちは「敏感肌」と感じるようになったのか
最近、
「昔は何を使っても平気だったのに」と感じる人が増えています。
その背景には、
・季節の変わり目
・花粉や黄砂などの環境刺激
・ストレス
・睡眠不足
・ホルモンバランスの変化
・体調のゆらぎ
といった要因が複雑に重なっています。
特に年齢を重ねると、
肌の回復力やバリア機能が一時的に低下しやすくなります。
その結果、
一時的な不安定状態を
「敏感肌」と感じるようになった。
いわば、
ゆらぎやすい肌状態を表す言葉として
「敏感肌」が使われているケースが多いのです。
「低刺激=誰にでも合う」わけではない理由
「低刺激」と聞くと、安心できそうなイメージがあります。
でも、
低刺激=万人に合う、という意味ではありません。
肌の反応は、
・成分の種類
・配合濃度
・組み合わせ
・その人の肌状態
によって大きく変わります。
また、
使った瞬間ではなく、数日後に赤みや違和感が出る
“遅れて現れる反応”もあります。
刺激を感じなかったから安全、
という単純な判断はできないのが、
敏感肌の難しいところです。
私が「合わなかった」スキンケアの話
ここからは、私自身の体験を少しだけ。
以前、Obagi(オバジ)のエイジング向けスペシャルケアシリーズを使ったことがあります。
年齢的にも合いそうだと思いましたし、評価も高く、期待していました。
使い始めたとき、
チクチクする、ヒリヒリする、といった即時的な刺激はまったくありませんでした。
ところが、2日ほど経った頃から、なんとなく肌が赤っぽい。
よく見ると、頬を中心にじわっと赤みが出てきていました。
いわゆる「微弱な炎症」を起こしていた状態だったと思います。
一度使用を中止し、
もともと使っていたシンプルなスキンケアに戻すと、
数日で肌は落ち着きました。
そこで
「たまたまだったのかもしれない」と思い、
再度Obagiを使ってみたのですが、やはり同じように赤みが出てきました。
使ったその時にチクチク、ヒリヒリを感じるのは、確実に肌が何らかの刺激を受けているサインです。
一方で、何も感じなかったからといって、肌の中で何も起きていないとは限りません。
数日経ってから赤みや違和感として現れる、いわゆる「遅れて出る反応」も、決して珍しいものではありません。
この経験から、
Obagiは“私の肌状態には合わなかった”のだと、はっきりわかりました。
敏感肌かどうかより大切なのは「バリア機能」
敏感かどうかを判断するよりも、
本当に大切なのは肌のバリア機能です。
バリア機能が整っている肌は、
外部刺激を防ぎ、水分を保つ力があります。
この働きを支えているのが、
・NMF(天然保湿因子)
・細胞間脂質
・皮脂膜
といった要素。
これらが不足すると、
刺激を受けやすくなり、
「敏感に感じる状態」になります。
逆に、
バリアが整ってくると、
肌は自然と落ち着きを取り戻していきます。
自己ケアで回復しないときは皮膚科という選択
スキンケアで何とかしようと
頑張りすぎてしまう人も多いですが、
すべてを自己ケアで解決する必要はありません。
赤みやかゆみが続く場合、
原因の特定や治療は、
医師の領域です。
無理に化粧品を試し続けるより、
一度立ち止まり、
皮膚科で診てもらうことが、
結果的に近道になることもあります。
敏感肌は「我慢するもの」ではなく、
正しく休ませ、整えていくもの。
肌の声に耳を傾けながら、
必要なときは専門家の力を借りる。
その選択も、
大切なセルフケアのひとつです。